院長のひとり言

“家族性地中海熱”について

今日は家族性地中海熱について呟いてみたいと思います。

家族性地中海熱は、発作性の炎症を繰り返す病気であり、自己炎症性疾患という疾患群に含まれる病気です。

家族性地中海熱は、タンパク質パイリンをコードするMEFV遺伝子の変異により生じる病気です。

症状としては、1~3日間の38度以上の発熱・胸痛、腹痛を1~2か月ごとに繰り返します。

パイリンはインフラマソームの活性化を阻害することで、抗炎症作用を発揮していますが,遺伝子変異によりパイリンの機能が低下し,インフラマソームの活性化が起きてIL-1βというサイトカインの産生が充進するために、炎症を起こすといわれております。

なんのこっちゃ?とおもわれるかもしれませんが、人の細胞はウイルスや細菌などの病原体に感染すると、細胞の表面に存在するToll様受容体で病原体を感知し、細胞内でインフラマソームという細胞内のたんぱく質複合体が働いて病原体を撃退するのですが、家族性地中海熱の患者さんの体では、そのインフラマソームが過剰な反応をひきおこすため、炎症が起こるということであります。

日本における家族性地中海熱の約90%の患者さんに、コルヒチンという高尿酸血症・痛風の薬が有効であるとされております(コルヒチンは、NLRP3インフラマソームの活性化を阻害する作用があります)。

家族性地中海熱ではないかとご不安な患者様は是非、当院を受診いただければ幸いに存じます。

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