院長のひとり言

”慢性腎臓病の食事”について

今日は慢性腎臓病の食事に関しまして、呟いてみたいと思います。

慢性腎不全や透析の患者さんでは、カリウム、リン、カルシウムなどの血中濃度も異常をきたすので、定期的な血液検査が必要です。

管理が必要なのは、エネルギー・たんぱく質・塩分・水分とされております。

低たんぱく質、高エネルギー食にすることで、腎不全の進行を予防することができるといわれております。糖質と脂質から十分なエネルギーをとることが重要といわれております。

①エネルギーは、30-35kcal/kg標準体重/日の摂取が必要といわれております。当院では、1日の必要カロリーを患者さんに応じて提示させていただくことができます。

②たんぱく質は、足りなくなると、体のたんぱく質の分解がおこり(異化と申します)、サルコペニアという骨格筋量の減少した状態になります。逆にたんぱく質の摂取が多すぎると、腎臓に負担をかけます。慢性腎臓病のステージごとに、1日のたんぱく摂取量のおすすめが決まっており、G3a期では、0.8~1g/kg標準体重/日、G3b期以上では、0.6~0.8g kg標準体重/日の摂取量が目安であるとされております。当院では、血液検査と尿検査で、慢性腎臓病の病期を決定し、必要に応じて腎臓病専門医の先生にご紹介させていただきます。

③慢性腎臓病の方に対する塩分の摂取量は3~6g/日がよいといわれておりますが、なかなか自分が摂取している塩分の量は把握するのが難しいとおもわれます。当院では、尿検査を施行することで、現在患者さんが摂取している、1日の塩分摂取量の予測値をご提示することができます。一般的には、漬物や肉の加工品などの塩分の多いものは控え、味噌汁も減塩のものにしていただき、しょうゆやソースは、小皿にはかってから使用するようにしてください。味付けに砂糖やみりんを使用すると、同時に食塩の使用量も増えることが多いので、あまり使用しすぎないようになさってください。香辛料、香味野菜、酢などを利用して、薄味でもおいしく食べられる工夫が必要です。

④慢性腎臓病の患者さんは、血清カリウムの値を、4.0mEq/L以上、5.5mEq/L未満で管理することが重要とされております。カリウムは少なすぎても体調を崩しますが、カリウムが過剰な場合は、カリウムを多く含む食品を控えたり、イモや野菜などは必ずゆでこぼす(材料を鍋に入れて沸騰させて煮立てたあとに、そのゆで汁を捨てる)ことが大事です。

⑤水分の摂取に関しては、一概に量を規定するのは難しいと思われますが、少なすぎると脱水になり、多すぎると体がむくむので、毎日体重を測定し、ベストな体重を維持することが重要と思われます。

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